平成28年度 秋期 システム監査技術者試験 午前II 問14
【問題14】
常時10名以上の従業員を有するソフトウェア開発会社が,社内の情報セキュリティ管理を強化するために,機密情報を扱う担当従業員の扱いを見直すこととした。労働法に照らし,適切な行為はどれか。
就業規則に業務上知り得た秘密の漏えい禁止の一般的な規定があるが,担当従業員の職務に即して秘密の内容を特定する個別合意を行う。
就業規則には業務上知り得た秘密の漏えい禁止の規定がないので,漏えい禁止と処分の規定を従業員の合意を得ずに就業規則に追加する。
情報セキュリティ事故を起こした場合の処分について,担当従業員との間で,就業規則よりも処分の内容を重くした個別合意を行う。
情報セキュリティに関連する規定は就業規則に記載する事項ではないので,就業規則に規定を設けようとはせずに,全ての従業員と個別合意を行う。
【解説】
ア: 就業規則に業務上知り得た秘密の漏えい禁止の一般的な規定があるが,担当従業員の職務に即して秘密の内容を特定する個別合意を行う。
正しい。労働法上、企業は就業規則に基づいた秘密保持規定を設けることが可能であり、特定の従業員に対して職務に即した追加の個別合意を行うことは適切な措置です。
イ: 就業規則には業務上知り得た秘密の漏えい禁止の規定がないので,漏えい禁止と処分の規定を従業員の合意を得ずに就業規則に追加する。
誤り。就業規則の変更には従業員の意見を聴取し、適切な手続きを踏む必要があります。合意なく追加することは不適切です。
ウ: 情報セキュリティ事故を起こした場合の処分について,担当従業員との間で,就業規則よりも処分の内容を重くした個別合意を行う。
誤り。就業規則に定められた処分を超えて個別の合意で不利な条件を課すことは労働契約法上問題があります。
エ: 情報セキュリティに関連する規定は就業規則に記載する事項ではないので,就業規則に規定を設けようとはせずに,全ての従業員と個別合意を行う。
誤り。情報セキュリティに関する規定は就業規則に明記し、適切に管理すべきです。すべてを個別合意のみに頼るのは不適切です。
【答え】
ア: 就業規則に業務上知り得た秘密の漏えい禁止の一般的な規定があるが,担当従業員の職務に即して秘密の内容を特定する個別合意を行う。
出典:平成28年度 春期 システム監査技術者試験 午前II 問14