平成28年度 秋期 システム監査技術者試験 午前II 問15
【問題15】
製造物責任法(PL法)において,製造物責任を問われる事例はどれか。
ITサービスの品質に問題が発覚し,SLAを締結している顧客へのサービスが一時的に提供できなくなったので,顧客から多大なクレームを受けた。
機器に組み込まれているROMに記録されたプログラムに瑕疵があったので,その機器の使用者に大けがをさせた。
工場に配備されている制御系コンピュータのオペレーションを誤ったので,製品製造のラインを長時間停止させ大きな損害を与えた。
ソフトウェアパッケージに重大な瑕疵が発見され,修復に時間が掛かったので,販売先の業務に大混乱をもたらした。
【解説】
ア: ITサービスの品質に問題が発覚し,SLAを締結している顧客へのサービスが一時的に提供できなくなったので,顧客から多大なクレームを受けた。
誤り。PL法は「製造物(物理的な製品)」に関する法律であり,ITサービスの提供不備は該当しません。
イ: 機器に組み込まれているROMに記録されたプログラムに瑕疵があったので,その機器の使用者に大けがをさせた。
正しい。ROMに組み込まれたプログラムは機器の一部として扱われ,機器に瑕疵があればPL法の対象となります。特に,この瑕疵が原因で利用者に人身被害が発生した場合,製造物責任が問われます。
ウ: 工場に配備されている制御系コンピュータのオペレーションを誤ったので,製品製造のラインを長時間停止させ大きな損害を与えた。
誤り。PL法は製造物そのものの欠陥に関するものであり,人的ミスによるオペレーションミスは対象外です。
エ: ソフトウェアパッケージに重大な瑕疵が発見され,修復に時間が掛かったので,販売先の業務に大混乱をもたらした。
誤り。PL法の対象は「有形の製造物」であり,ソフトウェア単体は対象になりません。
【答え】
イ: 機器に組み込まれているROMに記録されたプログラムに瑕疵があったので,その機器の使用者に大けがをさせた。
出典:平成28年度 春期 システム監査技術者試験 午前II 問15