令和5年度 秋期 システム監査技術者試験 午前II 問1
【問題1】
AI システムが読み込む画像などの学習データの管理を対象としてシステム監査を実施した。判明した状況のうち,監査人が,指摘事項として監査報告書に記載すべきものはどれか。
AI システムの学習期間中における学習データの責任追跡性を確保するために,当該データを保管するサーバのアクセスログを取得し,定期的に確認を行っていた。
学習データが消失した場合,当該データを保管するサーバのバックアップを利用し,AI システムで学習を再開することを定めていた。
学習データの機密性の確保に際して,データを保管するサーバでアクセス制御の仕組みを実装していた。
学習の基礎となるデータの信頼性の確保について,AI であれば問題ないとの憶測に基づき,実績のない AI システムに判断させたデータを利用していた。
【解説】
ア: AI システムの学習期間中における学習データの責任追跡性を確保するために,当該データを保管するサーバのアクセスログを取得し,定期的に確認を行っていた。
誤り。これは適切なデータ管理の実施例であり、指摘事項には該当しません。
イ: 学習データが消失した場合,当該データを保管するサーバのバックアップを利用し,AI システムで学習を再開することを定めていた。
誤り。これはバックアップ対策として妥当であり、指摘事項ではありません。
ウ: 学習データの機密性の確保に際して,データを保管するサーバでアクセス制御の仕組みを実装していた。
誤り。これは妥当なアクセス制御の例であり、問題点とはされません。
エ: 学習の基礎となるデータの信頼性の確保について,AI であれば問題ないとの憶測に基づき,実績のない AI システムに判断させたデータを利用していた。
正しい。データの信頼性が担保されておらず、監査上の重大な問題となるため、監査報告書に記載すべき事項です。
【答え】
エ: 学習の基礎となるデータの信頼性の確保について,AI であれば問題ないとの憶測に基づき,実績のない AI システムに判断させたデータを利用していた。
出典:令和5年度 秋期 システム監査技術者試験 午前II 問1